2010年2本目

とにかく長いので、畳んどきます。
□SIMPLY BECAUSE IMITATION〜偽物だからこそ…〜
 1/6 19:00
 東京芸術劇場 小ホール2

 以下、ストーリーの核心に触れる部分に関する記述があります。

▽あらすじ
 四兄弟の長男である二宮草太は、自宅で恋人の真壁真子に結婚を切り出すが、真子は結婚できないと言い置いて家を飛び出してしまう。
 納得できない草太は、三人の弟と一緒に真壁家へ直談判に行き、真子の親代わりである兄に「真子を嫁にくれ」と言う。一男の妻晴美は賛成するものの、一男や真子の妹の美里、友人たちは一様に結婚に反対。草太は怒り「結婚に家族の承諾は要らない、後は真子と直接話し合う」と真子の実家を出て行く。
 晴美は知らなかったが、真子は性同一性障害で戸籍を男性から女性に変更した過去があり、これを苦にして、草太との結婚に踏み切れないでいた。家族や友人たちの反対もそれを気にしてのことだったが、2年も付き合って気づかれないのなら結婚してしまえばいいという晴美の言葉をきっかけに、一転、一同は結婚に前向きになった。
 真子と一男は二宮家を訪れ、結婚を承諾する意を告げる。草太は喜ぶが、弟たちは強硬に反対していた一男が手のひらを返すように賛成に転じたことに不信感を覚え、罪悪感を感じながらも興信所に身元照会を依頼する。
 興信所の報告書を見た弟たちは愕然。真子が性転換者であるという事実を知ってしまう。兄には隠しておこうと決めたが、草太は報告書を読んでしまい、そのことを真子に切り出した。真子は、全部無かったことにしよう、と草太に別れを告げた。
 一男と美里は二宮家を訪れ、悪気があって隠していたわけではないこと、性同一性障害を負って生きてきた真子の辛さ、真子は草太のことが本当に好きだったことを告げ、黙っていたことを謝罪して帰っていった。
 再び真壁家を訪ねる二宮四兄弟。改めて真子と結婚させてほしいと一男たちに頭を下げる。家族たちは大喜びするが、当の真子は草太の再プロポーズを断る。
 他の誰に知られてもいいけれど、草太にだけは知られたくなかった。知られてしまったからにはもう一緒にはいられない。それが女心、わかって。真子が告げ、終幕。

▽雑感
 正直、1時間50分は長かった。四兄弟でなきゃいけない理由もないし(実際、作者が自分の劇団でやったときは三兄弟だったらしい)、他の兄弟に比べて容姿で劣っている二郎が邪険に扱われすぎていることも結構不快。美形を出しておきたいだけなら美形三兄弟がじゃれてるだけでもいいのでは? 真子の兄、一男の描写もちょっとしつこい。間延びして感じられたシーンが幾つもあって、もっと「SIMPLY」に作れば1時間半で収められたはず。暗転も多くて長い。
 結末に納得できるか否かは、人それぞれだろう。私はちょっと消化不良。真子が結婚を拒否したことを潔いと見るむきもあるだろうけれど、結局逃げただけとも思える。年の観劇始めの人も多いだろう時期も考えると、以降にどんな困難が待っているかはわかっていても真子がプロポーズを受け入れて大団円の結末のほうが幸せに劇場を後にできたのではないだろうか。

 草太はとことんウザイ。いくら緊張しているからといっても、いきなり弟を巻き込んでプロポーズすることにしたり、自分ひとりで動いてよと言いたくなってしまう。私はああいう男は好きじゃない。
 他人からだけではなく、弟たちからもぞんざいに扱われる役は、長男に据えておけばよかったのでは? 同じ双子でも双子の兄なら、「仕方ないな兄ちゃんなのに」といったポジションでむしろ微笑ましかったかもしれない。
 一度目のプロポーズを盛り上げようとしていきなりソムリエ風にワインをサーブし始める隼人(三男)は素敵だった。基本的にクールな性質らしく、座り方を含めて斜に構えていることが多い弟だが、結局は「兄ちゃん」を気遣う。
 末っ子は末っ子で少し間が抜けている。相手方の親(正確には親代わり)と年が近いことについて何故か虎武竜(合ってる?)を連呼したり、ムードたっぷりに音楽をかけつつ、その音量を上げすぎ、挙句、一人で勝手に踊りだして、兄のプロポーズを聞こえなくしてしまったり。兄弟の中で一番背が高かったのは彼。テニミュの頃より身長が伸びているかも。
 真子は、全体的に微妙。スーツのデザインとか、服の丈、髪型の感じが野暮ったくて、皆が連呼するほど「可愛い」が感じられない。誰より「女の子」だという草太の言葉がどうしても嘘くさく聞こえてしまった。役の作り方として、もう少し外見を今時のモテを重視したコーディネートにしたほうがよかったのでは?
 美里は可愛かった。モー娘。にいた頃のことはほとんどわからないけれど、役に合っていたように思う。ちゃきちゃきした感じも今時の女の子っぽくて良かった。